パラグアイの食文化はアサードを中心に回っている
パラグアイの食文化を一言で表すなら「アサードの国」。南米式BBQのアサードが食生活の中心にあり、毎週末、家族や友人を集めてアサードをするのが当たり前の文化です。
私はアスンシオンに家族4人で住んでいる。最初に移住したとき、「毎週BBQするって本当に?」と半信半疑だったんだけど、実際に住んでみたら全然誇張じゃなかった。むしろ毎週末どこかからアサードの煙が上がっていて、炭の香りが漂ってくる。
この記事では、パラグアイの食文化の中心であるアサードをはじめ、テレレ、チパ、ソパ・パラグアージャなど現地の定番料理を在住者目線で紹介します。物価の具体的な数字やスーパー事情、日本食の入手性、正直なデメリットまで、移住前に知っておきたい情報を全部書きました。
アサード(Asado):パラグアイの食文化の王様

アサードとは何か
アサード(Asado)は南米式のBBQ。炭火または薪で肉をじっくり焼くスタイルで、基本的に牛肉が主役。日本のBBQとの一番の違いは、「イベント」ではなく「日常」であること。パラグアイでは普通の週末の昼食がアサードだったりする。
焼くのはリブ(costilla)、腸(tripa)、ソーセージ(chorizo)、内臓(morcilla)など。日本では高級品のリブが、こっちでは1kgあたり25,000〜40,000グアラニー(約500〜800円)で手に入る。このコストパフォーマンスの高さが、毎週末アサードができる理由のひとつ。
家にアサード専用の窯(パリジャ)がある
パラグアイの家には、ほぼ100%の確率でパリジャ(parrilla)と呼ばれるアサード専用の鉄製の焼き台か、レンガで作った窯がある。これが本当に驚いた。日本でいう「家に風呂がある」くらいの当たり前さで、アサード設備が家に備わっている。
賃貸の家でも、庭にパリジャが設置済みのことが多い。「外でBBQをするための設備を別途用意する」という発想自体がパラグアイには存在しない。最初から「家でアサードをする前提」で家が設計されている。
週末は夫婦で薪を買ってきて(薪は近所のキオスコや市場で3,000〜5,000グアラニー/束で売っている)、昼ごろから火をおこして、2〜3時間かけてじっくり焼く。これがパラグアイの「普通の週末」です。
アサードの肉の値段(2026年時点)
具体的な価格を整理しておく。 ※1グアラニー ≈ 0.02円(2026年3月時点) 日本のスーパーで和牛リブを1kg買ったら3,000〜6,000円することを考えると、このコスパは異次元。「毎週高品質な牛肉を食べながら生活費を抑える」という、日本では考えられないライフスタイルが実現できます。 初めてアサードを食べたのは、移住して最初の週末だった。近所のパラグアイ人家族が「日曜にアサードやるから来なよ」と声をかけてくれて、家族4人で庭にお邪魔した。炭火の上にどんとリブが並んでいて、煙と一緒に肉の脂が落ちてジュワッと音を立てている。2時間くらいかけてゆっくり焼いた肉を一切れもらって口に入れた瞬間、「なんだこれ」と声が出た。外はカリッと香ばしくて、中はしっとりジューシー。日本の焼肉とはまったく別物の、炭と薪の香りが染み込んだ野性的な旨さ。娘たちも夢中でかぶりついていて、帰り道に「また行きたい」と言っていたのを覚えている。あの日からうちでも毎週末アサードをするようになった。
テレレ(Tereré)はマテ茶(Yerba Mate)を冷水や冷たいフルーツジュースで飲む飲み物。パラグアイの国民的ドリンクで、老若男女問わず、時間帯を問わず飲まれている。 飲み方は独特で、ボンビジャ(bombilla)という金属製のストローで、直接マテ茶の葉が入ったグアンパ(guampa)というコップから吸って飲む。このグアンパとボンビジャのセットを持ち歩いている人がたくさんいる。 面白いのが「テレレは回し飲み」という文化。友達や職場の同僚と一つのグアンパを回して飲む。最初は「衛生的に大丈夫?」と思ったけど、これがパラグアイでの絆の作り方。テレレを回し飲みする仲になったら、ちょっと友達になれた感じがします。
マテ茶(Yerba Mate)は500gで約15,000〜20,000グアラニー(約300〜400円)。一袋で相当な量が飲めるので、コスト的にはほぼゼロに近い。暑いパラグアイで冷たいテレレを飲むのは、夏の日本でのアイスコーヒーみたいなポジションで、生活の必需品になっています。
チパ(Chipa)はキャッサバ粉とチーズを混ぜて焼いたパンのようなもの。輪っか状またはロール状で、外はパリッと中はもちもち。日本でいうチーズパンに近い食感だけど、小麦ではなくキャッサバ粉で作るので独特の風味がある。 朝食によく食べられていて、市場や路上の屋台でも普通に売っている。値段は1個あたり2,000〜5,000グアラニー(約40〜100円)。復活祭(セマナサンタ)の時期には特によく食べられる伝統的な食べ物でもある。 お腹が空いたときにサッと買える手軽さと、独特のもちもち感が癖になる。個人的にかなり好きな食べ物のひとつ。
名前に「ソパ(sopa = スープ)」とあるけど、実はスープではない。コーンミール(トウモロコシの粉)、チーズ、卵、タマネギなどを混ぜて焼いたコーンブレッドのようなもの。パラグアイ人がアサードのときに必ず一緒に出す、いわば「定番の付け合わせ」。 味はしっかりめのコーンブレッドにチーズが入った感じで、アサードの肉と一緒に食べると相性抜群。最初は見た目が「コーンブレッドじゃないの?」と思ったんだけど、食べてみると確かにパラグアイならではの独特の味わいがある。
エンパナーダは小麦の生地に具材(牛挽肉、チーズ、野菜など)を包んで揚げたパイ。南米全域で食べられているが、パラグアイでも定番のスナックとして普及している。一個2,000〜4,000グアラニー(約40〜80円)。 揚げたてのエンパナーダは衣がサクサクで中がジューシー。午前中に市場に行くと揚げたてを売っているので、これとテレレが朝のセットになることも多い。
コーンミールと肉(チキンや牛肉)を混ぜて作った小さなボールを入れたスープ。「ボリ・ボリ」という名前の響きがかわいくて覚えやすい。寒い日(パラグアイも冬は15度前後まで下がる)に食べるとほっとする味。 家庭料理の定番で、市場でも食べられる。日本のすいとん汁に少し近いかな、という食感です。
アスンシオン周辺には中規模のスーパーが複数ある。代表的なのはStock、Superseis、Big、Salemma、La Anónima など。近所にはStockがあって、日常の買い物はほぼここで済む。 品揃えは日本のスーパーに比べると限定的だけど、野菜・果物・肉・乳製品・加工食品など基本的なものは全部揃う。生鮮食品、特に肉類は品質が良く値段が安い。 価格感を一例で挙げると: 特に肉類の安さが際立っている。毎日肉を食べる生活をしても、食費は日本の半分以下に収まる。
これは移住前に一番気になるポイントの一つだと思う。正直に言うと、日本食材の入手性は「まあまあ」。 アスンシオン市内には日系スーパー(日系移住コミュニティの歴史があるため)や中華系スーパーがあり、そこへ行けば以下のものが手に入る: 一方で手に入りにくいものもある。なめたけや明太子、特定の調味料(だしパックなど)はほぼ入手できない。一時帰国のたびに持ち帰るか、日本からの荷物便に頼るしかない。 食へのこだわりが強い人は、最初は少し苦労するかもしれない。ただ私自身は、半年も経てばパラグアイの食事に慣れてきて、日本食への渇望感はかなり薄れました。アサードが美味しすぎるせいもある。 移住して2ヶ月目くらいに、猛烈にラーメンが食べたくなった。それも「日清のカップ麺」じゃなくて、ちゃんとした豚骨ラーメン。近くには当然ラーメン屋なんてないし、アスンシオン市内の日本食レストランに行ってみたけど、やっぱり違う。結局、一時帰国した知人にだしパックと乾麺を頼んで送ってもらい、自分で作ることにした。チャーシューはパラグアイの豚バラで作ったら意外と美味しくて、「この国の肉は何にしても旨いな」と妙に感心した。今では日系スーパーで調味料をまとめ買いして、月に1〜2回は家で日本食を作るリズムが定着している。完璧な日本食は無理だけど、「8割の再現度」で十分満足できるようになった。
食文化の良いところばかり書いてきたけど、移住前に知っておくべきデメリットも正直に書いておく。 野菜の種類が少ない パラグアイのスーパーや市場で手に入る野菜はシンプル。トマト、タマネギ、ピーマン、じゃがいも、にんじん、かぼちゃ、キャッサバ(マンジョカ)あたりが中心。日本のような多品種の葉物野菜(ほうれん草、小松菜、水菜など)はほぼ見当たらない。意識しないと野菜不足になりやすい。 味付けがシンプルすぎる パラグアイの料理は全体的に味付けがシンプル。塩と油が基本で、スパイスを複雑に使う料理文化ではない。アサードは炭火の風味で美味しいが、「バラエティに富んだ複雑な料理を毎日食べたい」という人には物足りないかもしれない。 外食の選択肢が日本より少ない アスンシオン市内には中華料理やイタリアン、日本食レストランもある。ただしアスンシオン郊外の住宅街だと、外食の選択肢は肉料理中心のパリジャーダ(アサード専門店)や簡単なファストフードが主になる。多国籍な料理を楽しみたいなら市内まで出る必要がある。 油っこい料理が多い 揚げ物(エンパナーダ、マニョカフリータ)や肉料理が食文化の中心なので、全体的に油分が多い。毎日続けると胃腸への負担を感じることもある。野菜を意識的に摂る習慣が必要。 衛生面への注意 屋台やフードスタンドで食べる場合、衛生環境にばらつきがある。特に生野菜サラダや生ものは最初のうちは慎重に。水道水は直接飲まないのが基本(市販のペットボトル水か、浄水器を使う)。
Q. パラグアイでアサードを体験するには? Q. テレレは日本で言うとどんな飲み物に近い? Q. 日本からパラグアイに来て、食事で一番困ったことは? Q. パラグアイの食費は日本の何割くらい? Q. 子供はパラグアイの食事に慣れた?
パラグアイの食文化は、アサードを中心にシンプルで豪快。肉の質が高くてコストパフォーマンスが抜群なのが最大の魅力です。毎週末アサードを楽しみながら生活費を日本の半分以下に抑えられる、これはパラグアイ移住の大きなメリットのひとつだと実感しています。 「野菜が少ない」「味付けがシンプル」というデメリットはあるものの、慣れれば普通に楽しく生活できる食環境が整っている。日本食への渇望感は時間が解決してくれます。 パラグアイへの移住を検討している方は、食文化だけでなく生活費や治安なども合わせて確認してみてください。
肉の種類
グアラニー(1kg)
日本円換算(概算)
リブ(costilla)
25,000〜40,000
約500〜800円
豚バラ(panceta)
18,000〜25,000
約360〜500円
チョリソー(chorizo)
20,000〜30,000
約400〜600円
モルシジャ(morcilla, 血のソーセージ)
15,000〜20,000
約300〜400円
テレレ(Tereré):パラグアイの国民的ドリンク
テレレとは
テレレの値段
パラグアイの定番料理

チパ(Chipa):パラグアイのソウルフード
ソパ・パラグアージャ(Sopa Paraguaya):スープじゃないスープ
エンパナーダ(Empanada):サクサク揚げパイ
ボリ・ボリ(Bori-Bori):コーンボールのスープ
スーパーマーケット事情と日本食の入手性

パラグアイのスーパーマーケット
食材
価格(概算)
日本円換算
鶏もも肉(1kg)
15,000〜20,000 Gs
約300〜400円
卵(10個)
10,000〜15,000 Gs
約200〜300円
牛ひき肉(1kg)
20,000〜30,000 Gs
約400〜600円
じゃがいも(1kg)
3,000〜5,000 Gs
約60〜100円
トマト(1kg)
4,000〜7,000 Gs
約80〜140円
パスタ(500g)
5,000〜8,000 Gs
約100〜160円
日本食の入手性
正直なデメリット・気になる点
よくある質問(FAQ)
A. 現地に住んでいるなら、近所の人と仲良くなれば自然と招待される。旅行者の場合はアスンシオン市内にアサード専門のレストラン(パリジャーダ)が複数あり、本格的なアサードを楽しめます。パリジャーダではビュッフェスタイルで様々な部位を試せるところもある。
A. 緑茶をさらに苦くして、冷水で薄めたような風味。最初は苦みと独特の草っぽい香りが強くて好みが分かれる。ただしパラグアイでは「テレレを飲まない人はいない」くらいの国民的飲み物なので、慣れるとむしろ無いと物足りなくなる。
A. 個人的には醤油の質。日本の醤油に慣れていると、現地で手に入るアジア系の醤油では何となく物足りない。あとはだしを取るための素材(かつお節、昆布)がほぼ入手できないこと。今は市内の日系スーパーまで行って購入しています。
A. 家庭での食費であれば、日本の感覚で食べても1/3〜1/2程度に収まる印象。肉類が非常に安く、野菜・果物も安い。加工食品や輸入品は日本と同程度かそれ以上になることもある。詳しい生活費の内訳は「パラグアイの生活費を公開」の記事で紹介しています。
A. うちの娘たちは意外とすぐ慣れました。チパとエンパナーダが大好物になって、むしろ「もっと食べたい」と言うくらい。アサードの肉も喜んで食べている。野菜が少ない点は気になったので、家では意識的に野菜料理を作るようにしています。パラグアイの食文化まとめ

